猛暑と感染爆発

いかに夏の盛りとは言え、連日の猛暑によって生じる肉体的、精神的ダメージは想定以上のものがある。こうした状態があと2か月くらいは続くのかと思うと正直ウンザリする。

こうした中、東京はオリンピックが強行され、空前のメダルラッシュに沸いている。コロナ禍によって開催が1年延期され、練習も思うに任せない等のハンデを乗り越えた選手の努力と結果には、素直に感動し精一杯の拍手を送りたい。

だが、冷静になって東京の、いや日本全体の現状を見てみると、今まさにかつて経験したことのない危機的な状況に陥っているのではないか?

急遽、東京に4回目の緊急事態宣言の発出を決めたのが7月上旬、その頃の新規感染者数は1日当たり千人弱だった。それが緊急事態宣言どこ吹く風で、驚くことに、たった1か月で5千人を超え、あと半月もすれば1万人に達するという。

緊急事態宣言が発出されても大多数の都民の意識は、オリンピックに浮かれているのか、全く変わらず、挙句の果てが感染爆発という最悪の状況を招いてしまった。

もはや緊急事態宣言など何の実効性もないことが明白となっているのに、滑稽にも政府はまた、それを神奈川、埼玉、千葉、大阪に拡大した。

政府はデルタ株の感染力の強さが原因だと釈明する。確かにそれが要因かも知れない。

しかし根本的な原因は、人流ストップという最重要課題をなおざりにし、その感染力の強いウィルスを市中に蔓延させてしまったことにある。

唯一の頼みの綱だったワクチンも供給不足が顕著となり、今更政府の無能さを批判しても空しいだけだ。

緊急事態宣言よりも強力な対策を早急に講じねばなるまい。一日当たり1万人の新規感染者数となってしまう前に、欧米のロックダウンをいかに日本式にアレンジするか、併せて必要となる法整備も検討すべきだ。