飼い猫チャチャ VS カマキリ


 

12月の良く晴れた朝、チャチャの様子が少しおかしい。しきりにかすかな鳴き声をあげながら窓際にへばりついて外の様子を窺っている。発情期かな?いや、そんな季節にはまだ早いし、また、近所の猫がチャチャに会いに来たのかな?それとも珍しい鳥がやって来たのかも?そんなことを思いながら庭に目をやっても何にも見つからない。おかしいなと何気なくチャチャの視線の先を見ると、いました!「灯台下暗し」とはこのこと。網戸のすぐ外側の鉢植えのランの葉に何と、カマキリが一匹。チャチャとの距離は網戸を挟んで目と鼻の先。

カマキリは「何だこの野郎!」とばかりに鎌を振りかざし早やくも戦闘態勢。チャチャは喜んでいるのか、怒っているのか、いつも同じ顔をしているので良く判らない。ただ目だけは、眼光鋭くカマキリを睨んでいる。

カマキリは動きが鈍く、10分間で1センチくらいか、殆んど動かない。とても気短な人間には付き合い切れないが、その点チャチャは普段から、何の動きもない庭を30分くらいは眺めていることがある。そののんびりした特性を活かして、カマキリを睨み続ける。網戸があるのでそれ以上は決着の付けようもない戦いだが、薄い網戸を挟んで対峙したまま、気長者同士の持久戦は、かなりの時間続いていた。

やがてチャチャが焦れたように、網戸に前足をかけ何とか外に出ようと爪で引っかいていたが、あきらめたのか何処かへ行ってしまった。この勝負、残念ながらチャチャの負け。

何とも退屈極まりない、非生産的なお話で失礼いたしました。