ジョギングを再開

テレビでも新聞記事でも友人のアドバイスでも自分に良さそうなものには手当たり次第に飛びついた。そんな盲滅法なストレッチが功を奏したのか、それとも単に春から夏へと気温が上昇したことが幸いしたのか、本当のところは良く判らない。だが、とにかく腰のハリや違和感が殆どなくなってきたので約6か月ぶりにジョギングを再開した。

とはいえ、長かった梅雨が明け突然にやって来た連日の猛暑。17時頃になっても気温は30度を下回らない。決してムリはするまいと心に誓って、最初はウォーキングに毛の生えたような超スローペースで走った。それでも退化した太ももの筋肉がキリキリと軋んで、信号待ちになればホッとした気分で立ち止まった。鬱蒼とした木陰の道は、恐らく体感で5度ほどの涼しさを感じて、吹いて来る風が爽やかだった。ちょっと前までは、春爛漫の花盛りだった道は、アジサイの色が褪せ、僅かにサルスベリやキョウチクトウが咲き、家々の花壇にはニチニチソウやマリーゴルドやヒルガオなどが咲いていた。

走るたびに5キロ、6キロ、7キロと、無意識に距離が伸びた。若かりし頃は特にそうだったが、走っていると様々な仕事のシーンを思い出したりする。辛く苦しかったことや、やり遂げた時の喜びや達成感など。走っている時は、そのシーンがたとえ耐えがたいほどの苦痛を伴うことであっても決して抗うことなく、まっすぐに受け止めることが出来た。そこは虚栄や駆け引きやゴマすりといった類とは別次元の世界だった。純粋にその問題とどう向き合い、どう対処したら良いのか ・・・   追い詰められれば追い詰められるほど、いつもその正しい答えを導き出してくれたような気がした。ジョギングにはそんな不思議な力が存在していた。

流れ出す汗の爽快感とともに、そんな懐かしい感触をも久々に呼び覚ましてくれた。